おりの中、狂った愛を、むさぼり合う
キスで悩殺
「おーい」
「……」
「おいおーい」
「……」
「あぁ、もう!めんどくせーな」
グシャリと握りつぶされたパンは、飛鷹さんの晩御飯……になる予定だった物。その成れの果てが、今や高さ一センチのうすーい小麦粉の塊。
どんな握力をもってすれば、メロンパンがこんな事になるんだろう。怪力すぎる。
「もったいないです。メロンパンに謝ってください」
「じゃー言うけど。せっかくのご飯中に、横でメソメソ泣くのやめてくんね?不気味すぎて食欲わかねー」
「泣かせたのはあなたです」
「泣きながらド正論かますのやめろよな、気分悪〜」
(〝正論〟って……。私を泣かせた自覚はあるんだ)
はーあ、と大きなため息をついた飛鷹さんは、本当に食欲が失せたらしい。「疲れたから寝ーよおっと」なんて、硬そうなベッドに転がった。