おりの中、狂った愛を、むさぼり合う
……ねぇ咲人さん。
私、ちょっと考えてしまったのですが。
咲人さんが暑い中コートを着たり、かと思えば急に上半身裸になったり。そんな、まるで服を隠すような行動をとったのは……
『コート暑くないですか?脱いだ方が』
『俺に逆らうの?あの約束、ついに忘れた?』
あんな冷たい態度をとったのは……血が着いた服を、私に見せない為だったんじゃないかって。
私が「血が苦手」って言ったのを、しっかり覚えててくれたんじゃないかって。
そんな自惚れを、
そんな幸せすぎる想像をしちゃいました。
「うわ、今度はにやけ始めた。気持ち悪!」
「い、いいじゃないですかっ」
ずっと流れていた涙は、いつの間にか引っ込んだ。代わりに現れたのは、だらしなく緩んだ口元。