おりの中、狂った愛を、むさぼり合う


「なぁミミちゃん、俺もう寝るんだけど布団がねんだよ。だからコッチ来てくれね?」

「え?まさか私を布団にしようとしてます?ってか、この暑さに布団は、」

「俺は腹になにか掛けねーと寝らんないの」


だからホラ――っと。自分の横。わずかに空いたスペースを、ポンポン叩く飛鷹さん。

もちろん拘束具はついてるんだけど、制限ある中でも不便なく動き回れるらしく、危ないことこの上ない。

っていうか器用すぎる。実は飛鷹さん、骨がないとか?って、そんなわけないか。


「拘束具をつけていても意のままに手を動かせ、且つ、自由に拘束具を外すことも出来る――そんな人と一緒にいては私の身が危ないので失礼します」

「え~けちぃ。仕方ねぇなぁ。今日だけだぞ」


飛鷹さんって、自分が囚われの身ってことを忘れてるよね。余命の「よ」の字も匂いわないっていうか……。


(って、ペースに呑まれちゃダメダメ!さっきの事を聞かないと。咲人さんと飛鷹さんは知り合いなんですか?って)

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