おりの中、狂った愛を、むさぼり合う
寝室からブランケットを持ってきて、廊下に座る。エアコンの風が届かない廊下は灼熱のため、パジャマを上下とも脱いで暑さをしのいだ。
「ブランケットを敷いても床って硬いんだなぁ……」
半ば寝ぼけながら呟いた、その時だった。
ピッ、ガシャン
鍵の開いた音が、廊下に響く。耳をすませると、知った靴音が遠くから聞こえた。この音は……間違えるわけない。
(咲人さんが帰ってきたんだ!)
半分寝ていたとは思えないほど、すごい速さで頭が覚醒する。だって「今日は帰らない」って聞いてたから、会えないなぁってしょんぼりしていたのに。まさか、これから会えるなんて!
「おかえりなさい、咲人さん!」
ガチャリとドアが空く。
すぐに両手を広げ、咲人さんを出迎えた。
すると、
「……なに、その恰好」
「へ?」
玄関に入るや否や、咲人さんは顔をしかめる。そして上下とも下着姿の私を、穴が開くほど見つめた。