おりの中、狂った愛を、むさぼり合う
「えっと、部屋っていうか……」


咲人さんと話せるのは嬉しいけど、その前に。とりあえず、この恥ずかしい恰好を何とかしたい!

しどろもどろ話している合間も、何か隠せる物はないかと辺りをキョロキョロする。

だけど、ここは玄関。ずっと前に咲人さんが置いた「針千本」以外は何もない。


(手で隠すにも限界があるしなぁ……)


プチパニックで、すいすい泳ぐ瞳。そんな私を見た咲人さんは、玄関から上がってキッチンに姿を消す。

だけど、すぐに戻って来た。手には、切れ味よさそうなハサミを持っている。


(え、ハサミ?何に使うの?)


頭上に浮かぶ疑問符。だけど咲人さんに「おいで」と手招きされ、ルンルン気分でかけ寄った。すると素直な私を褒めての事なのか、咲人さんがニコリ。

あぁ、もう……。
最高の笑顔です!

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