おりの中、狂った愛を、むさぼり合う


「こ、この姿は、本当に何でもないんです。私が廊下で寝るのに、暑くて脱いだだけであって……」

「……」


ワタワタ説明している間、咲人さんは黙々と私を動かし、体の隅々まで眺めた。その目は、一心不乱に何かを探している。


「うーん〝無い〟ねぇ」

(やっぱり何かを探しているんだ。でも、何が無いの?)


疑問に思ったと同時に聞こえたのは、信じられない言葉。


「アイツからのキスマーク。俺への当てつけにさ、いかにも裏切り者がシそうな事でしょ?」

「き、キスマークって……っ」


あるわけないです、そういう行為をするワケないですし!と。何回いっても咲人さんは納得してくれない。

私の話を聞いてないっていうか、全く聞こえていない。口調が早いし、どこかピリついた雰囲気。なんだか……いつもの咲人さんらしくない。

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