おりの中、狂った愛を、むさぼり合う


「ミミ、気持ちいい?」

「~ッ」


この状況下で、正直に「気持ちいいです」と言うのは気が引けて。羞恥心から、コクコク頷くのみ。

すると顔を真っ赤にした私を見て、咲人さんは「ミミから襲ってきたくせに」と呆れて笑った。

あ、やばい……。

いつもと違う柔らかい笑顔に、胸の奥がキュッとしぼむ。押しつぶされるほどの、「好き」。


「言っておくけど。へたくそなキスを長時間って、ただの拷問だからね?いい加減、俺も我慢の限界。

だから早くさ。
俺のキスを覚えてよ」

「、んッ!」


さっきより大きく深くこじ開けられた口。
まるで食べられているかのようなキス。

互いの吐息が、複雑に何重にも混ざり合う。エアコンのない玄関では、蒸し暑い空気が浮遊するのみ。

そんな火照った環境で、咲人さんをいつもより身近に感じるのは……きっと気のせいじゃない。

というか、感じずにいられない。二人の汗が、ぶつかる瞳が、この熱気で異様な相乗効果をもたらしている。


(咲人さん、好き、好き……っ)

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