おりの中、狂った愛を、むさぼり合う

感覚が研ぎ澄まされる。
野生のように咲人さんを求めてしまう。

その証拠に、無意識のうちに咲人さんの首に回した手が、時々いやらしい動きで彼の背中を這っている。

自分が、自分じゃなくなる感覚。
咲人さんのキスは常に私を惑わし、狂わす――


「って感じ。はい、暑いから離れて」

「ひゃ、ひゃい……」


しまった、咲人さんを好きって気持ちを再確認しただけで、キスに溺れちゃってた……。


「それでミミ、次のキスは大丈夫そう?」

「な、んとか……!」

「ふっ。あっそう」


意地悪く笑ったところを見れば、きっと咲人さんは私のポンコツ具合を分かっている。

だけど「せっかく練習に付き合ったのに」とかイジワルは言わない。咲人さんは、そういう人だもん。

……っていうかさ。

咲人さんがキスの練習に付き合ってくれたっていうだけで、ヤバい。嬉しい。ハッキリ言って心臓もたない。

今までかたくなに「下手だからキスしない」と豪語しておきながら、咲人さんから「練習するよ」なんて。しかも帰ったばかりで疲れてるだろうに、こんな濃い練習……!


(あぁ咲人さん、咲人さん。ラヴ!)

「あ、そうだ」

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