おりの中、狂った愛を、むさぼり合う
『今日限りで、俺を好きでいるのやめてくれない?』
「〝今日限り〟ってことは……」
スマホを見ると、23時30分の文字。
「あと30分で、咲人さんを好きでいるのをやめなきゃいけないんだ……」
「分単位かよ。忙しねーな」
「せめて年単位なら……」
いや、時間の問題じゃない。
そうじゃ、なくて……。
「うぅ、咲人さん~っ」
「はぁ~~……」
飛鷹さんがいる物置部屋。その片隅で、膝を抱えて小さくなる。
エアコンがなくて暑かったけど、リビングの冷気をサーキュレーターで送り、なんとか酷暑をしのいでいる。もちろん、リビングは極寒。
寒いからと切るわけにもいかないから、ちょうどいい気温になったココに私もいる。というわけです。
咲人さんが出た後、私も出て行こうとしたけど……
『ミミちゃん~、水くれー。俺ミイラになるー』
(ココを事件現場にするわけにもいかないし……)