オレンジの空は今も
ホットドッグとおにぎり、ポテトチップと肉まん、青いラベルの缶コーヒーとミルクティを買い、ビニール袋をぶら下げながらイチョウの木の下の白いベンチまで並んで歩く。


砂利道の上の落ち葉が踊っている。


落ちたイチョウの葉が、ベンチに秋の模様を作っている。


ベンチに腰かけてホットドッグをほお張った。

ケチャップのなかなか出てこないソーセージの隙間をのぞき込み、一緒に顔を見合わせて笑う。

昨日見たドラマの感想を言い合う。

ちょっと喧嘩になりながら。


大学の講師のクセを身振り手振りしながら真似をする姿を見て、おなかを抱えて。


なんでもない出来事も会話も、ふたりでいるとすごく特別で。

笑った顔もスネた顔も、ふと物思いにふける顔も、どんな表情も大好きで。

横顔からのぞく長いまつげも、すっと通った鼻筋も、

少し猫背なところも、相手の全てが透き通って輝いて。


出会ってから五年が経つのに、会うたびに愛しくて。


宏人の柔らかい唇から奏でられる一言一言も、聞き逃さないように全部あたしの中に閉じ込めておきたい・・・本気でそう思った。





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