オレンジの空は今も
「ちょっと、なか、寄ってこうか」

「うん」


細い砂利道を白いベンチまで黙って歩く。

右手を宏人のダウンジャケットのポケットに入れ、手袋がわりにしながら。


イチョウの木は溶けた雪でしっとりと濡れ、幹の色の深さを増している。

薄明かりのなかで、影絵のように。




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