オレンジの空は今も
ヘッドライトを覆うように宏人に抱きしめられたのを覚えている。
ドン――…という鈍い音がした。
不思議と痛みはなかった。
身体が宙に投げ出される。
次の瞬間には全身にひんやりとしたアスファルトの感触があった。
背中にまわる宏人の腕の重みが分かった。
(…………宏人――)
名前を呼びたいのに声が出なかった。
地面に頬をつけながら、最後にぼんやりと濁る視界に映ったのは、
水溜りに浮かぶマフラーの、二つ並んだ星模様だった―――