オレンジの空は今も

「由希!退院おめでと! ケーキ買ってきちゃった。あとで由希ん家で一緒に食べよっ」


突然、病室のドアが開いて、ケーキの箱を抱えた加奈がいつものように勢いよく中へ入ってきた。


「ちょっとケーキ見てみる? すごく美味しそうなのよ」


抱えていた箱をベッドの上に置いて、嬉しそうにシールをはがす加奈。


「ホントだ。美味しいそう」

「でしょー?」


中身をのぞき込むあたしの胸元のペンダントが、加奈の顔の前で揺れる。


「あ、そのペンダント、鎖が切れちゃっててね、ヒロトがわざわざ新しいの買って付け替え・・・」


次の瞬間、加奈がはっとして口元へ両手を運んだ。



「ヒロト――・・・?」





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