オレンジの空は今も
――どれくらいそうしてただろうか。


嗚咽が止み、身体の震えが治まると、屋上の灰色の床にあたしと加奈の長い影が伸びていた。


「由希・・・・、落ち着いた?」


加奈があたしの背中をトントンと叩き、小さく問いかける。

首だけを縦にふり、顔を上げる。


涙の痕の残る加奈の柔らかい頬に、穏やかな笑みが浮かんでいた。





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