オレンジの空は今も
「―――え・・・?」
宏人からの・・・手紙・・・?
「宏人からって・・・」
困惑するあたしの手をとり、加奈が深くうなずく。
「宏人がね、昏睡状態から目を覚ましたときにね。由希のそばに座りながら、毎日何か書いてたわ」
「宏人が・・・・?」
まだ混乱している。
加奈の言葉を理解しようと、必死でその目を見つめる。
「新しい鎖を買いに抜け出したとき渡されたのよ。もしも―――」
声が途切れ、一時空を見上げてから、再びあたしに向き合った加奈が言葉を続けた。
「もしも俺になにかあったら、これを由希に渡してくれないか・・・って」
「そんな・・・」
「宏人は決して泣かなかったわ。信じてたのよ、絶対に由希は目を覚ますって」
宏人が・・・・あたしに・・・・
・・・・・・言葉がでなかった。