オレンジの空は今も
もう宏人に”由希”って呼んでもらえない。
“馬鹿だな”って叱ってもらえない。
“心配するな”って髪を撫でてもらえない。
“行くぞ”って手を引いてもらえない。
柔らかく包み込んでくれる胸も、
優しいキスも。
枕にして抱き寄せてくれる力強い腕も、
大好きな笑顔も。
もう、あたしのそばから消えちゃったんだ・・・って。
どんなに会いたくても、どんなに声が聞きたくても、
もう宏人に会えることはないんだ・・・って。
寂しかった。
何をしていても。
どこにいても。
誰といても。
最初の一年は本当に……
生きることだけで精一杯だった。