オレンジの空は今も
宏人、あたしね、大学院に進んだの。
時々宏人と歩いた道を、今も通い続けてる。
暗くて狭い階段を登った先の神社、あったじゃない?
雨に濡れるあじさいが道端にしっとりと山をつくっていて、すごくキレイだったよね。
その根元にちっちゃなずぶ濡れの子猫がいたの、覚えてる?
宏人がタオルで身体をふいてあげたあの子猫、今もあの神社にいるんだよ。
すっかりたくましくなっちゃって、子分みたいな猫たちをにらみつけてることもあるの。(笑)
でもね、あたしを見つけると、急に甘えっこになって、ゴロゴロ足元に擦り寄ってくるんだ。
よしよしって頭を撫でてあげるの。
宏人が・・・あたしにそうしてくれたように。