オレンジの空は今も
ふと、手にする缶に違和感を覚える。
そこから伝わる感触は・・・それが空であることを物語っていた。
「・・・宏人・・・?」
柔らかい風が、あたしの周りで揺れている。
頬を包み、髪を撫で、肩を抱き――――
すべてが、優しかった。
身体の奥から、優しさが込み上げてきた。
夢でもいい。
あたしの気持ちは・・・宏人への手紙は、確かに届いたはずだ。
向こうにいる・・・もしかしたら傍にいる、大切な人に・・・。
穏やかな笑みがもれる。
――――すべてを受け容れたあたしが、ここにいた。