オレンジの空は今も
結局、その”いかにも”なお化け屋敷に入ることになった。

案の定こういう作り物のお化けに弱いあたしは、しっかり宏人にしがみついてた。

初めて会うのに。

その腕にしっかり。


でもホントは、ぜんぜん怖くなかったんだ。

お化けも。

宏人も。


「大丈夫、大丈夫」なんて言いながら、宏人のほうが出口につくまで、ビクッと身体が反応してた。

そんなところが、やっぱり可愛かった。


「せっかくくっつけたのになぁ。俺、ぜんぜん余裕ないし」


なんて、暗闇から外に出たばかりの宏人の照れ笑いが、眩しかった。





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