オレンジの空は今も
人もメリーゴーランドもゆっくりと小さくなっていく。

少し下を先に行く、加奈がブンブンと手を振っている。

あたしは黙ったまま、ちょっと微笑んで軽く右手を振り返した。


頂上に着いてもあたしたちは無言のままだった。

緊張のせいか、言葉がうまく見つからない。

さっきまであんなにおしゃべりできてたのに。

沈黙も手伝って、胸の奥がきゅっと苦しい。


そんな感覚がどうして沸いてくるのか、

それがどんな気持ちからくるものなのか、

たぶんあたしはもう、気づいている。





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