オレンジの空は今も
あの日から、加奈がバイトで先に帰ってしまう日には、宏人の部活が終わるのを待って一緒に帰るようにしている。


窓の外から聞こえる掛け声の先を見つめる。

宏人はサッカー部だった。

人一倍大きな声でグランドを駆け回る宏人。

放課後、こうして加奈とおしゃべりしながら校庭を眺め、練習風景を目にしていたはずなのに、どうして気づかなかったんだろう。

あのダブルデートがなかったら、宏人と付き合うこともなかったのかもしれない。

宏人の存在にすら、気づかなかったかもしれない。


出会いって不思議。





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