オレンジの空は今も
宏人がボールを蹴る。

高々とあがる右足。

髪がふわりと揺れ、ブルーのユニホームの下からたくましそうな腹筋がちらりと覗く。

ゴールポストに吸い込まれるボールに嬉しそうにこぼれる白い歯。

額に光る汗をぬぐいながら、急に教室のほうへ振り向いた宏人と視線が絡まる。


ピクン―――


身体に電気が走る。

微笑みながら左手を上げ、

「あ と で」と宏人の口が動くのが分かる。

あたしも左手を小さく振り、コクリとうなづく。





< 49 / 207 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop