オレンジの空は今も
ドリブルをしながら右足を後ろへずらす宏人。

そのとき、ゴールを狙う体勢を整えかけた宏人に、背後から近寄る影が瞬時に交差した。


「あっ」


思わずあげたあたしの小さな叫びと同時に、砂ぼこりを巻き上げて、もつれ合い、倒れこむ二人。


「やだぁ、痛そう・・・」


窓を全開にし、身を乗り出して倒れた二人を見つめる。

だけど次の瞬間には、二人とも立ち上がって、

ユニホームを砂まみれにしながら、何事もなかったようにお互いに小突き合い、じゃれ合っている。


「子供みたい」


心配して損しちゃった・・・呆れて窓を閉める。

開け放しておくには、この時間の風はさすがに冷たい。





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