オレンジの空は今も
ビルの隙間に埋もれていた太陽も頭だけをのぞかせ、そろそろ夜へ時間を譲ろうとしている。


空に広がる薄雲が、わずかに注ぐ陽光に照らされ薄紫色に染まっていく。


練習終了の時間がきて、片付けを済ませた部員たちが部室へ戻り出した。

影が消えたグランドは、冬の香りを含み始めた北からの風に吹かれ、さっきまでよりもずっと広く感じる。


もう、冬の足音がすぐそこまで近づいている。





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