オレンジの空は今も
一通りショップ巡りが終わったころ、遅めの昼食にありつこうと、石畳の坂の途中にあるオープンカフェに立ち寄った。


「しかしまあ、随分ハデな水着を買ったわね」


日焼け止めを腕に塗りたくりながら、タバコをくわえたままの百合子が煙に目を細め詩織に言う。


「日焼け止めか、タバコか、どっちかにしたら? オヤジみたいよ」


グラスの氷を突いていた加奈が百合子に注文をつける。


「ホント、女とは思えないわよ、百合子」


詩織がショップ袋からゴールドに輝く水着を取り出し、満足そうににやけている。





< 71 / 207 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop