オレンジの空は今も
「由希、ちゃんと宏人に確かめた?」


その晩、加奈から電話が入った。


「まだ」

「あれさ、やっぱり宏人だったよね? ちゃんと確かめなきゃダメだって」

「うん…」


電話越しにわめく加奈の声としばらく会話をしたあと、宏人の番号とにらめっこ状態が数分続いた。

信じてるけど、でも、モヤモヤが晴れない。

都会の夏空のような気分がずっと続いている。


「なんであたしが、電話片手に緊張しなきゃならないわけ?」


ただ確かめればいいだけだ。

どうってこと、ない。


おもいきってボタンを押した。





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