甘×辛MIX
◯駅前・噴水広場(休日の朝)

噴水の近くで佇む杏璃。
マキシワンピにカーディガン、つばの広い帽子という姿。

杏璃(休日をくださいって言うから、どういう意味かと思った…)

頭の中で昨日の咲也のセリフが蘇る。

咲也「そのお休み、僕にください」
「付き合っていただきたい場所があるんです」

腕を組んではあっとため息をつく杏璃。

杏璃(だったら最初からそう言えっての)
(いちいち言い方が思わせぶりなのよ)

考えてからハッとする杏璃。

杏璃(いや! 思わせぶりだからなにってことはないけど!)
(ああもう! なんであんな若い子に振りまわされなきゃなんないのよ…!)

頭を抱えて唸る杏璃。
背後からタタッと駆けてくる音。

咲也「おはようございます!」

息を切らした咲也が姿を見せる。

咲也「唐沢さん、早いですね。遅れないように来たつもりだったんですけど」

膝に手をついて汗を拭う咲也。
Tシャツに袖なしのロングジャケットのラフな服装。

咲也の私服を見るのがはじめての杏璃、思わずまじまじと眺める。

杏璃(6歳くらいしか変わんないけど、やっぱずいぶん若く見えるなぁ…)

杏璃「私も今来たところ」
「で? 今日はどこに行くつもり?」

咲也は無邪気に笑う。
服装もあいまっていつもより幼げな表情に、杏璃は一瞬どきりとする。

咲也「まだ内緒です。ここから電車とバスで1時間くらいですよ」
「あっ、飲み物どうぞ!」

杏璃「あ、ありがと…」

咲也が差し出したペットボトルのうち、ブラックコーヒーを手に取る杏璃。
もう1本のミルクティーは咲也がバッグにしまう。

咲也「じゃあ、さっそく行きましょうか」

移動中のカットを数枚(閑散とした電車内・バス車内、のどかな田舎道)。
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