馬花

92 肌身

ラブレターを書いたなら

受け取ってくれますか

認めてくれますか

そうですか

置場所に困りましたか

それなら

いっそ

僕の存在ごと

燃やしてくだされ

・・・・

2023年
晴れ着の若人が酒を堂々と飲み交わしていた頃

一組の父,娘はまだ成人式へは遠い位置に腰をおろしていた
母が他界したこの親子
自然と娘は成長速度を加速させて
有意識とか無意識とか
どうでもいいけど
女に近づく

手紙渡したんでしょ

まあ

一定の効果はあるわ
スマホじゃなくて
自筆が大切なの
心持ちが違うでしょ

なあ、アユラ
8歳らしくしてくれないか

チャリルは仕事人間だし
冷たいところがあるから
隙をつくわよ

・・・・

チャリルとチュリミ
18の頃から交際を始めた
児童養護施設出身のこの2人は
この時28歳だった

土曜日だし
どこか出掛けない

悪い
仕事のこと考えたいから

そう

・・・・

父アネハは
娘アユラがいるが
結婚はしていなかった
未婚の父だった

それはハミルENの一員であって
其処は結婚することを認めていないから。

すなわち故セイナとは内縁関係だった
2人は娘を授かった
アユラ

セイナは事故で亡くなったが
その前から体調が芳しくなかった
事故の一因だった
アネハは体調不良を仄めかす内縁の妻を
精査させることが出来ず、己を責した
そうした感情は未来の幸せに対して
臆病の風を吹かせた

内妻が死して、8年の月日が経過していた

8年が齎した時の療養によって
ある女に恋はできたが
いいのか

そのオンナには
恋人がいるし
死んだウチヅマを愛したまんま
あいつは逝った
嫌いになって嫌気が刺して別れてでもいりゃあ、いくらでも新たな女に進めるのに
愛したまんまに逝っちまった、
俺のケジメは

死んだ女の乳房に残したままだろ

俺は既に45だし
28の女に恋して
愛だ恋だの撒き散らして
恥晒しに
なるのが使命だろう




チャリルと同棲しているチュリミはアネハから受け取ったラブレターの置き場所に困り

肌身離さず
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