色とりどりな君の花
「…なぁ、お前、なかなか夏祭り行ってないだろ」
「うん。それがどうしたの?」
なんか、いつもの圭佑じゃない。そんな彼は視線を泳がせながらこう言った。
「いや、その……俺と一緒に夏祭りに行かねえか?」
え、嘘。ウソウソウソウソ!嬉しすぎて泣いちゃいそう。…泣かないけど。
「え、逆にいいの?!本当に?ヤッター!!ありがとう!」
ついつい飛び跳ねてしまう。だって、こんなに嬉しいことってある?
念願の夏祭り!浴衣を着て、少しだけお化粧して屋台を見て周るんだ!そして何より、一番のイベントはもちろん花火だ!
「…お前、もしかして勘違いしてない?」
「え、何に?」
「…別に何でもない」
え〜、そういうのが気になるんじゃん。ま、夏祭りに行けるのなら何でも良いんだけどね!
「…それって、そういうことになるよねっ?」
「ん?舞ってば、どうしたの?」
私の話を聞き終えた彼女は顔を輝かせていた。
「んーん。何でもない!夏祭り、楽しんで来てね!」
舞はしばらく、ニヤニヤしているままだった。
待ちに待った夏祭り!着物は鮮やかな青をベースにした朝顔と金魚が描かれている物を新しく買った。
メイクはナチュラルで仕上げる。夏っぽさを意識したけど、圭佑はどう思うのかな?
…どう思ったって別に私には関係なくない?
ま、いっか!女子って誰にだって可愛く思われたいんだもんっ。
出来るだけたくさんの人に可愛いって思われたらいいなぁ。