色とりどりな君の花
「あ、あのぉ?もしかして今、圭佑って機嫌が悪い?」
せっかくワクワクして夏祭りに来たのに、私を見た途端、なぜか彼は顔をしかめたのだ。
…私のメイク、変だったかな?この浴衣の着方が間違っているのかな?
「…あのさ、自覚ある?」
え、メイク、やっぱ変だったかな…恥ずかしくなってきた。家に帰ろうかな。
「おい、こっちに来い。変な奴に絡まれるぞ」
急に私の手を取った圭佑に、私は思い切り戸惑っていた。誰かと手を繋ぐことさえ、小学生以来なのに!
高校生男子と、なんて意識しない方がおかしいって!
「ちょっと、いきなりどうしたのっ」
「あ?どうしたって、お前のその格好、どう考えてもおかしいだろ」
「や、やっぱ、私のメイクが下手なんだ……」
あーあ、気持ちが空振りしちゃったかな。いっそのこと、このメイクを落としちゃおうか…
「…?なんか勘違いしてね?」
「……え?」
「浴衣がめちゃくちゃ似合ってるし、メイクも上手すぎて可愛くなりすぎなんだよ。他の男に狙われるだろ」
ね、狙われる?私、そんな命を狙われるようなことしたっけ?…いやいや絶対に無い!
ん?待て待て。さっき、圭佑はなんて言った?!
「言っとくけど、他の男は何するか分かんねえぞ?そんなに可愛い奴、ほっとけねえって」
「ちょちょちょちょちょ!か、可愛いってさっきから?!」
「うるさいな。だからなんだよ。事実を言っただけだよ」
待って、これは何かの幻か?信じられない!あの圭佑が、私に可愛いって言った!
どう言った心の変化で?…てか、私に向かって言った言葉だよね?え、私が可愛い?
どう見たって、私はサバサバしすぎてて男受けはしない方だと思うけど?しかも、言葉遣いもやや荒いと思うけど……