色とりどりな君の花
「咲希はどれが欲しい?」
「え、取ってくれるの?」
「ん」
可愛いかよって心の中で突っ込むのと同時に、彼の優しさに心を打たれた。
私はお言葉に甘えて、上の段の方に置いてある白ウサギのぬいぐるみをorderさせてもらった。
難しいはずなのに、圭佑がやってしまうと簡単に見えてしまうから不思議だ。
私は少し申し訳なくなった。
「本当にもらっちゃっていいの?圭佑がとったのに」
「誰がいるかよウサギのぬいぐるみ」
アハハ、確かに圭佑にウサギはミスマッチかも。でも、やっぱ申し訳ないのは申し訳ない。
「心配すんな。このお菓子は俺が全部貰うから」
…あっそうですか。私、そのお菓子の中に入ってるオレンジ味のガムは欲しかったんだけどなぁ。
…ここは譲るしかない。ぬいぐるみをとってくれたのは彼だから、ここはしょうがない。
そう諦めかけた時、「ほらよ」っと、何かが飛んできた。
「え、何で?telepathy?」
「地味に発音良いのちょっとウザい。お前、顔に出やすいんだよ。オレンジ味のガム、欲しかったんだろ?それだけならあげる」
「…私、好きなお菓子とかで言ったことあるっけ?」
確か、考えてみれば小学生の時くらいにオレンジ味のガムが好きって言った気もする。
「…あぁ、小二の時だったかな。咲希のせいで子供んころ、ガムってお菓子なのかなって疑問だったよ」
「なんか、それはごめん」
うっわ懐かしいなぁ。ハハ、小さい時の圭佑、意外とかまってちゃんだったなぁ。
すぐに咲希咲希って呼ぶんだもん。あの時は可愛かったなぁ。
……今では全く可愛くないけど。でも、優しいとこだけはずっと変わってない。