太陽ひとつ、恋ひとつ
七月二十八日(日)
眠れなかった。
ところどころ意識がなくなった記憶はあるけれど、ほとんどの時間は目が冴えてしまっていた。
結果、お弁当を作ることにした。
「え、俺に?」
試合前、グラウンドの待機場所でストレッチをしている航大に持っていくと、またもやマジか、というような顔をされた。
「わざわざ?」
「自分のを作るついでに……」
そう、一人分だとどうせ自分が食べるんだし、と献立も盛り付けも雑になってしまう。電気代やガス代ももったいない。デメリットしかない。だから。うん。
「……さんきゅ」
「え」
「何」
「えっ、いや」
「じゃあ俺、行くわ」
遠ざかる背中を見つめながら思った。自分が醜い。期待していたんだろう。もっと喜んでもらえる、なんて。
「青羽くん!」
ジャージ姿の女子生徒が、航大の名前を呼びながら駆けつけた。
サッカー部のマネージャーだ。名前は確か……、唯川さん。心配そうな表情で航大の顔を覗く。何か話しているけれど、一言も聞こえてこない。
唯川さんが私に気づく。会釈するが、視線はすぐに航大へと向けられる。
なんだろう。彼女の表情が、目が、苦しかった。
気づきたくないのに、忘れたいのに、引き戻されてしまう。
私は二人に背を向けた。
ところどころ意識がなくなった記憶はあるけれど、ほとんどの時間は目が冴えてしまっていた。
結果、お弁当を作ることにした。
「え、俺に?」
試合前、グラウンドの待機場所でストレッチをしている航大に持っていくと、またもやマジか、というような顔をされた。
「わざわざ?」
「自分のを作るついでに……」
そう、一人分だとどうせ自分が食べるんだし、と献立も盛り付けも雑になってしまう。電気代やガス代ももったいない。デメリットしかない。だから。うん。
「……さんきゅ」
「え」
「何」
「えっ、いや」
「じゃあ俺、行くわ」
遠ざかる背中を見つめながら思った。自分が醜い。期待していたんだろう。もっと喜んでもらえる、なんて。
「青羽くん!」
ジャージ姿の女子生徒が、航大の名前を呼びながら駆けつけた。
サッカー部のマネージャーだ。名前は確か……、唯川さん。心配そうな表情で航大の顔を覗く。何か話しているけれど、一言も聞こえてこない。
唯川さんが私に気づく。会釈するが、視線はすぐに航大へと向けられる。
なんだろう。彼女の表情が、目が、苦しかった。
気づきたくないのに、忘れたいのに、引き戻されてしまう。
私は二人に背を向けた。