初恋の糸は誰に繋がっていますか?
「まるでこの一件が終われば俺が離婚すると言うとでも思っていたようだな」
呆れている顔が見られなくて顔を逸らした。
「何度もそうでは無いと言っているつもりが通じていないらしい。
君にとってはいきなりで驚くのは仕方が無い。
気長に俺が努力すれば良いことだ」
ここで私を責めずにこういう事を言う人を、嫌いになれる訳なんてないのに。
「それとも理世は結婚式を挙げたくないのか?
もしそうだとしても写真くらいは撮りたい。
君のウェディングドレス姿はとても綺麗だろう」
そんな風に私を褒めてくれるのは達貴さんくらいだと思う。
それにウェディングドレスは憧れだ。
着たいに決まっている。
「ドレスはオーダーメードでもいいな」
「いや、それはさすがに。
一度しか着ないものですし高いなんてものではないと思います」
「だが君の好きなデザインに出来ると思うが。
俺のお姫様がより美しくなるんだ、そんな特別な機会に遠慮する必要は無い」
お姫様などと言われ、頬が熱くなり顔を両手で隠した。
恥ずかしさでどこかに隠れたい。
「今後週末はそういう時間にあてるのも良いだろう。
君の好きなものを着て、君の気に入った結婚式にすれば良い。
そういう楽しみがあるのは良いものだな。
毎週君のドレス姿を楽しめる」
「なんですか、それ。
私だって達貴さんのタキシード姿がみたいです」
「特にこだわりが無いからそれも理世に選んでもらおうか」
ずっと楽しげな彼に、私は口をとがらせた。
気がつけば数時間前に怒った恐ろしいことを忘れさせるように、達貴さんの今後出来る楽しくて幸せなことをあげてくれる優しさが本当に嬉しかった。