初恋の糸は誰に繋がっていますか?
そして下村さんのこともある程度の区切りがついた。
本人は情報漏洩に関わることを否定していたが、私が一切の関わりをしたくないと拒否したことは彼を再度怒らせた。
運命の相手ではなかった、あれだけ手をかけたのにとうっかり自分のしたことの一部を漏らしてしまったらしい。
それが発端だったのかはわからないが、彼は全てを白状した。
たまたまランチに入った店に私と友人がいるのを見つけ、友人が名前を呼んだことで私だと確信した。
それから会社を特定、帰りもつけて家を特定した。
近づくためにプロジェクトコンペに参加、それなりの結果は既に出していた彼は選ばれることを確信していたらしい。
その後私に近づき、恐怖を煽った。
誰かと同居しているのはそもそも嘘で、私を見つけたときに近くへ引っ越したそうだ。
会社での再会が上手くいかない場合は、近所での再会を演出するつもりだったとか。
同居を何度も誘うのに断る私に業を煮やし、アリバイを作って元社員に家までつけさせた。
自分に頼ると確信していた下村さんは、まさか数日で私が達貴さんと入籍するなど考えてもおらず、それなら達貴さんの立場を落とせば良いと情報漏洩で追い詰めようとした。
結果、あのような彼にとって何一つ上手くいかないどころか犯罪者となってしまった。
初恋の人と初めて付き合った人が犯罪者になったなど、世の中でも少数では無いだろうか。
彼には私に今度つきまとわないように強い命令が出て彼はそれに従った。
会社も解雇され、今後彼はどんな人生になってしまうのか。
運命の人、運命の再会を作り出した下村さん。
本当にランチで見つけたのは運命の再会だったはずなのに、こうなってしまったのはあまりに悲しい結末だ。
そんなことを達貴さんに話したら、君は優しすぎる悪いのは彼だ。
でもそこが君の良いところなのだとフォローしてくれた。
元彼によるトラブルからも守ってくれて、こういう話をしても受け止めてくれる達貴さんに、とても感謝した。