初恋の糸は誰に繋がっていますか?

リビングは和室ながらもゆったりしたソファーがある。
対面の壁には大きなテレビが備え付けられていて、家のテレビも大きさも凄いのでここは家よりも小さいんだなと思った自分が恐ろしい。
ソファーに座りスマホを見ていた達貴さんが笑みを浮かべ私を横に座らせる。

「探検した感想は?」
「一泊いくらするのかな、と」
「高額な出費の場合は夫婦で相談すべきだとは思うが、これは俺のへそくりからということで気にしないように」
「高額なんですね・・・・・・」

こういう場所の金額が一切わからない私としては予想がつかない。
会社のビジネスホテル代ですら半年ごとでも上がっているけれど、そういうものとは比較対象が違うのでさっぱりわからないし考えない方が良さそうだ。

ウェルカムドリンクが運ばれ、達貴さんにはビールの他にお皿が置かれそこには既に前菜では?というような料理がある。
私には旅館手作りという焼き菓子がついてきた。
あまりの美味しさにお土産に欲しいと思ったが、あくまで宿泊客のみのものらしい。

ビールを飲みながら、ふぅ、と達貴さんが息を吐いた。

「長い時間運転させてごめんなさい」
「運転は気晴らしになるから問題ない。
やっと、二人で仕事に関わらない場所に来られた気がしてね」
「そういう割にさっきスマホを見てましたけど仕事のメールだったのでは?」
「のぞき見は良くないな」

彼が一つ私の焼き菓子をつまむ。
さっきいらないのか聞いたらいらないと言っていたけれど、気持ちが変わったのだろうか。
しかしそれを見ていたら私の口元に近づいてきて、達貴さんと焼き菓子を交互に見た。

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