初恋の糸は誰に繋がっていますか?
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楽しかったけれど何も無かった初めてのお泊まり温泉旅行を終え、いつもの生活に戻った。
新商品は今も売り上げが好調で、新CMをうつ予算も下りた。
企画部を新しく設けることも正式に了承されそうだと達貴さんから聞かされたときは勝手に家でお祝いをした。
直に集まる機会は少なくなったプロジェクトメンバーも、チャットツールでは豆に情報交換していたので、今度は始終顔を合わせるのかという不満のような喜びが流れたりしていて嬉しい。
達貴さんはより忙しい日々となり、週末土日休みだとしても一日は仕事に当てている状態で、もう一日は夫婦のためにと必ず時間を取ってくれた。
以前言っていたことは本当のようだったようで、結婚式をするのか、するならどこがいいか、ドレスはどうするのかと達貴さんが聞いてくる。
お父様が社長と聞かされた今、披露宴無しは無理だと思うのだけど、彼は親子として公にしていないのだから別に無くて良いという。
絶対に私の聞かされてない事情があるはずだけど、そこまで踏み入れる勇気が出なかった。