初恋の糸は誰に繋がっていますか?

「理世、帰ってきたらどこか式場でも見に行ってみるか。
まず披露宴をどうするかは別にして、君の理想的な場所で式は挙げたい。
俺がいない間にでもピックアップしておいてくれ。
本屋ならそういう雑誌を扱っているんだろう?
俺も見てみたいし買っておいてくれないか。
ちなみに式場にかかる予算は気にしなくて良いし、海外がいいならそれでも良い」
「やるのなら国内で十分だから!
でも、ブライダルの本を本屋さんで買うの恥ずかしいかも」
「良いじゃ無いか、ネットなどで頼むより、これから楽しいことをするんだという実感がより沸くんじゃ無いか?」
「そういうものかなぁ」

彼は私の不安を拭うのが上手い。
逆に私が彼に何をもたらせてあげているだろう。
会社では私と達貴さんが結婚したことについて陰口をいう人達が今もいる。
奈津実はそれを知っていて一切話題にすることは無い。
愛されている女は何より強い、その辺の雑魚など消し去るほどにね、と奈津実が拳を握って力説してくれたときは、その気遣いに礼を言った。


達貴さんが海外出張にでかけて既に五日目で日本では日曜日。
毎日彼からはメッセージが届いた。
アメリカの食事に風景の画像も送ってくれて、今日あったことなどがメッセージにある。
向こうと日本の時差は約十三時間。
こちらの夜が向こうの朝のため、彼が起きたときに少しだけビデオ通話したりもしたが、なんだか申し訳なくて彼の都合の良いときだけにした。
出来ればギリギリまで寝ていて欲しい。
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