初恋の糸は誰に繋がっていますか?




昼過ぎになって買い物でも出ようかと思ったその時だった。
スマホからけたたましい警報音が鳴る。
『地震です!地震です!強い揺れに警戒してください!』
スマホを見れば真っ赤な表示。
え、と思うまもなく酷い揺れが襲ってきた。

「わぁ!!」

がうんがうんと体が揺れる。
テレビの横に備え付けられた棚からバタバタとDVDケースなどが床に落ち、他の部屋からも物が落ちる音が聞こえる。
横に引っ張られるような揺れだが、立てないような状況では無い。
急いでテレビをつけ、スマホを握る。
テレビではバラエティ番組からニュースに切り替わり、地図を見ればいつもよく地震が起きる場所が震源のようだ。

「うわ、まだ揺れてる」

船酔いみたいな揺れが続き気持ちが悪い。
そういえばここが三十階なのを思い出した。
いわゆる長周期地震動と呼ばれるもので、高層階であればあるほど揺れが大きくなる。
おそらくエレベーターは止まっているかも知れない。
ニュースを見ながら、揺れが収まるのを待った。

ニュースでは首都圏にしては割と大きかった地震だったため、交通機関に乱れが出ているという内容や、震源地での映像が流れている。
流石に落ち着いてきたので、ニュースをつけたままにして床に散らばった物を片付けることにした。

「達貴さんの部屋の本棚、倒れないようにしてあったけど絶対本が倒れたよね」

彼の部屋に行ってみれば、案の定本が床に落ちている。
全て落ちているかと思えば三分の一ほど。
上にある荷物も落ちたらしく、私はそれを拾い始めた。

英語の本などもあって分類に悩んだが、なんとか棚に戻して今度はいくつか箱に入っていたであろうものを片付ける。

< 141 / 158 >

この作品をシェア

pagetop