初恋の糸は誰に繋がっていますか?
でも彼と過ごした時間は本当に楽しかった。
会社とは違い家では笑う彼。
私を揶揄う意地悪な彼。
でも、どれも優しさがあった。
それは、彼の後悔によってもたらされた優しさだったというのに。
ずっと与えてもらってばかりでどう彼に報いれば良いのかわからなかった。
だけどやっと見つけられた。
彼を解放することは、私にしか出来ない。
初恋の人は逮捕されたと悲しみに暮れていた私は、本当の初恋の人に出会えて入籍までして一緒に暮らすということもしてもらえた。
十分すぎるくらいに、彼から幸せをもらったのだ。
その恩を返せることは私も願っていたこと。
なのに、ぼろぼろと涙が出てしまう。
彼が頭を撫でてくれるのが好きだった。
優しい声で私の名前を呼んでくれるのが好きだった。
仕事を頑張る彼が好きだった。
なにもかもが好きだった。
「会いたい」
もう二度と会ってはならないのに、会いたくて仕方が無い。
彼の胸に飛び込んで、安心したい。
でもそれはもう永遠にありえない。
私は膝を抱え、子供のように泣きじゃくった。