初恋の糸は誰に繋がっていますか?
下村浩二。
彼は大学のゼミの二つ先輩。そこで知り合った。
ゼミのまとめ役で面倒見も良く、男女ともに慕われていた人。
すらりとしたルックス、染めていると間違われるほど薄茶色の髪に優しげな風貌と態度。
女子から人気もあったそんな彼が、私に告白してきたのはゼミの合宿だった。
突然の告白に戸惑う私に、まずは付き合ってみて考えれば良いんじゃないかなと彼は強引に私を頷かせた。
いつも聞き役で穏やかなイメージだったから、その強引さに驚いたとしばらくして話すと、彼は他のゼミの男子が私に告白するというのを聞いて焦ってしまったと恥ずかしそうに話してくれた。
周囲から初々しいカップルと言われ、彼も慣れずに恥ずかしがる私にとても優しかった。
だが一月経っても実は時々男性が怖いと思う事があるという秘密を言い出すことが出来ず、彼が自分の家に誘ったのを私は怖くなって思わず断ってしまったのだ。
不審に思ったのだろう、彼は一体自分の何が悪いのか断った理由を教えてくれと問い詰めてきた。
いつも優しい彼をここまで追い込んでしまったのかと罪悪感に駆られ、私は幼い頃男性に怖い思いをして今もそれがどこかに残っていることを白状した。
彼はその話を聞いて何故か喜んだ。
自分にだけ話してくれた、それが嬉しかったらしい。
彼は無理強いをしないことを約束してくれ、私は彼の優しさに救われた。