初恋の糸は誰に繋がっていますか?
「ごめん、再会して嬉しさのあまり舞い上がってた。
それにずっと謝りたかったんだ、あの時のことを直接」
「あの頃直接謝ってくれたじゃない。
そもそも私が悪かったの。昔の話だし、忘れて」
「僕は理世を忘れたことなんて一度も無いよ。
確かにあの後数人の女性と交際した。
だけど浮かぶのは理世のことだけで誰とも長続きしなかった。
卒業後のゼミの集まりも理世は一度も来ないし、二度と会えないのだろうかと思いつつも、こんなに思っているならいつかきっと再会できるって信じてたんだ」
彼の切実な目と言葉に、私は自分の事が重なる。
初恋の彼を忘れられず、こんなに思っているならきっとまた会えると信じていた。
だが現実は残酷だった。
彼もそうやって私を切望していたのだろうか。
その痛みが分かる分、そしてあんな別れ方をしてしまった以上彼のその気持ちが辛い。
「ごめん。
やっと会えたからつい。重いヤツだって引いたよな」
私はその言葉に返事をしなかった。
「でもまたこうやって再会できた。
もちろん仕事はきっちりやるけど、プライベートで理世を思う事まで仕事を使って潰さないで欲しい」
「だから会社の人が疑ってて」
「あれから時間も経った。
こうやって時々で良い、理世と一緒に食事とか出来れば僕は嬉しくてもっと仕事の質も上がる。
まずはもう一度、空いていた期間の僕を知ってもらいたいんだ。
社会に出て僕もそれなりに成長したと思う。
僕のことを君に見て欲しい、公私含めて。
そういうチャンスをもらえないかな」