初恋の糸は誰に繋がっていますか?
結婚詐欺で逮捕された初恋の彼とは私が幼い頃に出逢った。
学校でイジメに遭い家族に心配をかけまいと下校途中にある公園の遊具に隠れて泣いていたそんな私を、彼が見つけ声をかけてくれた。
当時私は小学校低学年の七歳、彼は学ランを着ている中学生で確か一年生だった気がする。
細身で眼鏡をかけたそのお兄ちゃんはあまり笑うことは無かったが、公園で独りぼっちの私を見つけるとあめ玉やチョコをくれて慰めてくれる。
段々と彼の今日の鞄には何のお菓子が入っているのかわくわくしていたものだ。
名前を聞けば、さとうたつき、と教えてくれた。
漢字が苦手な私は、名前を呼ばずにお兄ちゃんと呼んで彼を慕った。
彼がくれるお菓子を食べながら、私が一方的に話すことを彼はあまり表情も無いものの静かに、嫌がらずにベンチに座って聞いてくれる。
何も言えずに泣いていた時は、無理に聞き出したりはせずに優しく頭を撫でてくれた。
たどたどしいけれど優しい撫で方。
安心して余計に泣いて、彼を困らせたこともある。
そんな彼との時間は私にとって、とても幸せな時間だった。