初恋の糸は誰に繋がっていますか?

コンビニに入ると私の買うものを見てはいけないと思ったのか、すぐそばにいるからと専務は私から離れた。
そんな間も始終常務が周囲を見てくれて急いでコンビニで必要な物を買い終える。
常務も何か買い物をしていたようで出入り口で待っていてくれた。

すぐにまた常務は私の手を握って歩き出す。
背が高く足の長い常務ならもっと早いだろうに、ゆっくりと私の歩幅に合わせてくれていた。
部屋に戻りお風呂は常務の後にしますという私を、まだ仕事があるからと言われ先に入ることになった。
白で統一された広いパウダールームは大きな鏡にダブルボウル、どう考えても一人で住む家では無い。
服を脱ぎ、バスルームに入るとこれまたうちの倍はありそうな広さ。
大きなバスタブに浸かれば思わず気持ちのよさからはぁ、と声が出た。
気分的にシャワーだけにしようかと思ったけれど、入ってみると温かいお湯が身体を包んで緊張が解けていく。

ふと、そういえばシャンプーなどは買っていなかったことに気付いた。
家の物は好きに使って良いと言われていたけれど、常務はどういうのを使っているのだろう。
シャンプーなどがきっちりと並べられたコーナーで一つを手に取ってみると、おそらくサロン用であろう高そうなシャンプーとコンディショナー。
デザインも真四角でお洒落な上、香りも爽やかなハーブの香り。
常務と同じシャンプーを使うことになると思うと妙に恥ずかしい気分になってきた。
そんな煩悩を打ち消し、私がドラッグストアのセールで買うシャンプーより遙かにお高いであろう品を、ありがたく使わせて貰った。

< 44 / 158 >

この作品をシェア

pagetop