初恋の糸は誰に繋がっていますか?


「もう深夜の一時を過ぎているな」
「わ、ほんとだ」

もう眠くなっても良いはずだが、眠いようで眠れない。
まだ緊張感が続いているのだろうか。
いや、あの森山さんのお家にいるということが一番緊張している原因かもしれないけれど。

「すみません!
まだ森山さんお風呂に入ってないのについ話をしてしまって」

つい自分の事ばかりで、森山さんの仕事を邪魔した上でずっと付き合わせていることに気付いた。
だが森山さんは軽い笑みを浮かべると、

「空いている部屋は他にあるんだが荷物置き場になってるんだ。
ご覧の通りまだ引っ越して間もなくて片付いてない。
そういうわけで私のベッドを使わせてすまないな、シーツとかは変えてあるから」
「え!森山さんはどこに寝るんですか?!」
「私はリビングのソファーを使う」
「いえいえ!
森山さんの方が身長高いんですし、そのソファーは立派ですけれどさすがに寝返り打てば床に落ちちゃいます」
「落ちないように寝れば良い。
それにこれから風呂に入るし仕事も残ってるんだ、ここの方が良い」

仕事があるのは本当かも知れないが、完全に気を遣って貰っている。
このソファーは確かに大きいけれど、155センチくらいの私が横になって余裕すぎるけれど、おそらく180はこえている森山さんなど絶対に無理だ。

それに一人になりたくないというのもあった。
だがここで仕事をするなら、私がいるのは迷惑になってしまう。
一人になりたくないとはいえ、もうこれ以上迷惑を掛けないように素直に従って寝た方が良い。

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