初恋の糸は誰に繋がっていますか?


「凄いです、お母様には自慢の息子さんですね」
「別にそんなんじゃないさ。
そんな母親も俺が高校生の時に再婚して今は幸せにやっているよ。
だからそんなに申し訳なさそうな顔をしなくて良い」
「はい。でも、苦労されたのだろうと」
「そうだな、元の父親は一切養育費を入れなかったから苦労していたな」
「そうだったんですね。
だけどそんな時にお母様は森山さんが家を、自分を支えてくれたことを感謝されたでしょうし、心強かったと思いますよ?」
「元の父親が何も出来ない人だったから、母親としてはそういう男に育たないようここぞとばかりに家事をさせていたような気もするが。
今時、家事の出来ない男なんてモテないのよと言われたのもだ」

呆れたように言う彼の表情は反面穏やか。
きっと良い親子関係を築いているに違いない。

「私なんて一人暮らしそれなりにしてますけど家事は苦手です」
「そういう場合は家事の得意な男と結婚すれば解決するんじゃないか」

持っていたフォークを落としそうになり慌てる。
何だか違う意味でデジャヴだ。

「そんな奇特な男性、既に結婚してますよ」
「俺はまだ独身だが」
「森山さんは婚約間近のお相手がいるでしょう?」

言って今更気がついた。
婚約者のいる人の家に泊まってしまったなど大問題だ。

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