初恋の糸は誰に繋がっていますか?
ビクビクと顔を上げると男がニヤリと笑った。
これは違う、何か良くないことだ。
それが理解出来ても恐怖で声が出せない。
お兄ちゃん助けて!
動けないまま、私は心の中で必死に彼を呼んだ。
突然大きな声が聞こえた。
そこに現れたのは、私が待ち焦がれていた彼。
お兄ちゃんはあんな大きな声が出せるんだと、恐怖の中で思った事を覚えている。
そこからは断片的にしか覚えていない。
彼が男ともみ合っていたこと、大人たちが捕まえたこと。
お兄ちゃんの腕から何故か血が沢山流れていて、それを涙でぼやけた目で私は見ていた。