初恋の糸は誰に繋がっていますか?
「信じられない、あの森山さんの家に泊めて貰ったなんて。
それだけ優しくて正義感の強い人なんだ。
・・・・・・羨ましいな」
付き合っているあの女性が。
ベッドに寄りかかり顔を上げる。
森山さんと彼女が並べば誰もが羨む美男美女。
あれだけお嬢様で品のある人も早々いないだろう。
その人が、あの部屋で、あの車で彼に大切にされているのかと思うと、胸の奥がぎゅっと掴まれるような感覚を抱いた。
「あの人には既にお相手がいるのに」
しっかりと自覚してしまった。
森山さんの事が気になって仕方が無い。
好きだ、という言葉を口に出せば、それは呪いのように私を縛ってしまう気がする。
「あんな素敵な人、何も思わない方が無理だって」
私は再度大きなため息をついて、まずは再度お礼をするためメールを森山さんに送ろうと、身体を起こしてスマートフォンを鞄から取り出した。