初恋の糸は誰に繋がっていますか?

「君にとってはまだ短い間でこういうことを言われても信じられないんだろう。
だが俺はそういう時間に意味は無いと思っている。
むしろこれから沢山お互いを知れて、思い出を作っていける。
デートだって結婚してから行きたいところに行こう。
楽しいことを、君としたい。
君の笑った顔が、俺は見たいんだ」

気がつくと必死に唇を噛みしめていた。
泣きそうになって耐えたいのに、涙が出てしまう。

「笑って欲しいのに泣かせてしまった」

彼は眉を下げて頬に伝わる私の涙を、指でそっと拭ってくれる。
彼の視線と交わり、私は目を瞑った。

良いのだろうか、こんなに甘えてしまって。
彼の人生を私が狂わせてしまわないだろうか。
そんなときは私からすぐに消えれば良い。
だから少しだけ夢見ることを許して欲しい。

「良いんですか、私で」

彼は微笑んで、もちろん、と答えた。

「私、料理下手なんです」
「俺は好きだから問題ないな」
「ずぼらなんです」
「別に急かすことはしない。
仕事のスケジュールは異なるだろうが、君との時間はきちんと作る」
「後悔、しませんか?」

再度の念押しに彼は笑った。

「結婚しよう」
「・・・・・・はい」


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