初恋の糸は誰に繋がっていますか?
思い切り頭を下げた。
私は急に入れられたメンバーだ。
常務はそうではないという言い方だったけれど、他の人からすれば何で総務がと思っただろう。
それなのに私を軽んじること無く一緒に作り出すことを許してくれた。
この人達と頑張りたい、常務の気持ちをわかってほしい一心で頭を下げたが、これが悪い流れにさせてしまったのではと勢い任せの行動に後悔してきた。
「頭を上げて」
一番年上の男性の声におずおずと顔を上げれば、メンバー皆が苦笑いを浮かべていてその意味がわからない。
「みんな常務の熱意もわかっているし、仕事をしてからは尊敬できるリーダーだと皆が思っている。
それにね、金沢さんは自分を卑下するような言い方をしたけれど、君はここで足手まといの仕事をしていたの?」
指摘されてどう言えば良いのか言いよどむと、他の女性がその男性に性格悪いわぁと呆れた声を出した。
「そんな言い方をされれば自分の駄目な点とか考えちゃうわよね。
私だってこの人だって欠点多いし仕事でなんでも出来るわけじゃ無い。
このメンバーは各自特化している部分があるけれど、それ以外は抜けているのよ。
そこに満遍なくフォローしてくれて、適切な指示やスケジュールを考えてくれるのがどれだけ助かるか。
細かな書類だって私はそういうの苦手だし、みんな貴方がいなければ回らない事なんて理解しているのよ。
ここのメンバー、誰一人欠けられない、そうみなも思うわよね?」
その女性が周囲を見ると皆が頷いている。
「意地悪な言い方をして悪かった。
それだけ君はこのメンバーの必要不可欠な仲間なんだよ。
これからこそ皆で頑張らないとね、常務含めた我々のために」
にこりと笑う男性に、他の人達も笑っている。
ここは泣くところじゃない。
私も目一杯笑みを浮かべて、これからもよろしくお願い致しますと再度頭を下げた。