偽りの夫婦〜溺愛〜
「え?」

「双葉がいない家の中は、ほんと寂しかったんだ。
家の中が広く感じた。
ずっと一人で住んでたのに、可笑しいよね?
でも、双葉に会いたいってそればっか考えてた」

「紅羽さん…」

「カヨさんに言ったこと、本心だから!
双葉は、僕の大切なパートナー。
円華への想いとは違うけど、今一番大切な人だよ?」

「私も好きです、紅羽さんのこと。
込山への想いとは違うけど…
政略結婚の相手が、紅羽さんで良かったって思ってます!」

「うん、嬉しいよ!」

「私は……紅羽さんのために、お料理するの楽しいです!
紅羽さんが快適に過ごせるようにってお掃除したり、紅羽さんのカッターシャツをアイロンかけたり…
でも、紅羽さんは無理してるんじゃないかって思って……」

「え?無理?」

「結婚してからずっと、傍にいてくれてますよね?
だから、気を遣わせてるんじゃないかと思って…
本当はやりたいことあるのに、私に遠慮してるんじゃないかって」

「大丈夫!
無理してないし、遠慮もしてない。
ある意味、気も遣ってない(笑)
双葉といると、心地良いから!」

「そっか!
良かった~」

「双葉こそ、無理してない?
遠慮してない?
気、遣ってない?」

「無理してません。
遠慮もしてません。
でも、気は遣います(笑)」

「え!?」

「あ!それは!
良い意味というか……嫌われないようにというか……
紅羽さんの負担にならないようにしてます!
私、紅羽さんの癒しになりたいんです!
紅羽さんが、毎日穏やかに過ごせるように!」

「ありがとう!
僕は、双葉を支えたいな!
双葉が幸せに暮らしていけるように!」

「フフ…!私達、ある意味“お似合い”ですね!」
「フフ…そうだね!」


「「双葉を(紅羽さんを)好きになれたら良かった……!」」

綺麗に声がハモって、互いに顔を見合わせて笑った。

「フフ…!
でも、そうなれたら…
僕達はきっと、ラブラブだよ?(笑)」

「フフ…!そうですね(笑)」
 


二人は気づいていない――――――

この時二人は既に、心を通わせていたのかもしれないことに。
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